大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(し)39 決定

主 文

本件抗告を棄却する。

理 由

本件抗告の理由は末尾に添えた抗告申立書のとおりである。記録の抄本を調べて

みると、本件は、被告人Aに対する尊属殺人等被告事件に関する原審第七回公判期

日に、被告人の主任弁護人塚本義明から、証人Bの供述が伝聞証拠で証拠能力がな

いから排除決定ありたい旨異議の申立があつたのに対し、原審が、検察官の意見を

聴いた上、右申立を却下する旨の決定(後記決定の理由から推して棄却決定と認め

られる。)を宣し、その理由として、証言が、伝聞証拠であるか否かは一に証明事

項との関係如何によつて定まるものであるが、検察官の立証趣旨からみて右証言は

伝聞証拠とはいえない旨説示したのに対し、抗告人等は右決定の理由に刑訴四〇五

条一号、二号、三号の各号若くはそのいずれかに該当する違反があるとして本件特

別抗告を申し立てるに至つたことがわかる。

しかし、証言が伝聞証拠であるか否かは、もつぱら訴訟法上の問題であつて憲法

上の問題ではなく、訴訟手続に関し判決前にした決定で、もつぱら訴訟法上の問題

にとどまり憲法上の問題に触れないものに対しては、特別抗告を許さないとするこ

とは当裁判所の判例とするところである(昭和二四年新(つ)五号、同年九月七日

第三小法廷決定、昭和二四年新(つ)三号、同年同月同日同法廷決定)。次に論旨

引用の大審院判例は、単なる風評を判決の証拠に引用した事例で証拠調べ自体の適

否に関するものでないから本件に適切でない。また、引用の仙台高等裁判所の判決

が、訴訟法上証拠能力なき証拠を取り調べることは違法であるとすること所論のと

おりであるが、本件原審の右決定理由は、所論証人Bの証言は伝聞証拠でないと判

断しているに過ぎないのであつて、決して伝聞証拠を取調べても違法ではないと判

断しているのではないから、右判例と相反する判断をしたものではない。それゆえ、

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右決定の理由に憲法違反若くは判例違反があるとする抗告人等の論旨はいずれも理

由がない。

よつて右証言が伝聞証拠であるかどうかの判断に立入るまでもなく、本件申立を

棄却すべきものとし、刑訴四三四条、四二六条に従い、裁判官全員一致の意見をも

つて、主文のとおり決定する。

昭和二七年七月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

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