最高裁判所第三小法廷 昭和27(オ)107 判決
主 文
原判決を破棄し本件を札幌高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人岩沢惣一、同百瀬武利、同西村卯の上告理由について。
罹災都市借地借家臨時処理法(以下処理法という)第二条に基く賃借権は、同五
条一項の定めた存続期間の一〇年間対抗力を有し、その間の土地譲受人に対し賃借
権を対抗できるものと解するを相当とする。そして土地の賃借権者は、その使用収
益をするため、目的物たる土地を占有することを要するから、賃貸人たる土地所有
者に対しまず当該土地の引渡を請求する権利があることはいうまでもないことであ
る。本件において上告人は、被上告人の土地所有権取得について不知をもつて答え、
単に妨害排除を求めているに過ぎないけれども、被上告人の土地所有権取得が認め
られるとすれば、それが一〇年の賃借権存続期間内である限り、賃貸人たる被上告
人に対し賃借権行使の前提である土地の引渡を請求する趣旨を含むものと解されな
いことはない。従つて原審は上告人が処理法二条による賃借権を取得したかどうか
について、また要すれば上告人の請求の趣旨についての釈明を求め、もつて審理を
つくして事実を確定した上、上告人の請求の当否を判断すべきであつたのに、単に
被上告人が土地所有権を取得した事実を認定しただけで、たやすく上告人の請求を
排斥したのは違法たるを免れない。この点に副う上告論旨は理由があることに帰す
るから、他の論点について判断するまでもなく、原判決を破棄してこれを原審に差
し戻すべきものとし、民訴四〇七条を適用し全裁判官一致の意見をもつて主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 小 林 俊 三
裁判官 島 保
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裁判官 河 村 又 介
裁判官 本 村 善 太 郎
裁判官 垂 水 克 己
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