大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(オ)690 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人鈴木於用の上告理由は、末尾添附の別紙記載のとおりである。

上告理由第一点について。

Dは、所論四四三六二五円を本件りんごの売買代金の支払として送付し被上告人

が右金員を受領したとしても、被上告人(被控訴人)はDが従前の取引に関する被

上告人との和解契約による第一回支払分金一〇万円を支払わなければ被上告人のD

にりんごを売り渡す義務は発生せず、そしてDは右一〇万円を支払わなかつたので

被上告人はDに対し本件りんごを引き渡す義務がなかつたこと、Dは前記一〇万円

を支払わなかつたばかりでなく、被上告人が和解契約に基きDに対し発送通知した

本件以外のりんご四五一箱の代金(一箱金八七五円)の半額をも約旨に反して送金

しないで右りんごをも全部上告人より受領したことは、いずれも原判決の確定した

事実であり、これらの事実によれば被上告人はDに対し本件りんご以外に支払を受

くべき金銭債権を有したことが明らかであるから、被上告人がDの送付した所論金

員を受領したからとて必ずしも本件りんごの代金として受領したものとは断定し得

ないので、上告人の賠償額を算定するにつき損益相殺として所論金額を控除しなけ

ればならないものではない。原判決には所論の違法はない。

同第二点について。

所論は、原審の事実認定を非難するにすぎないので理由なく、また原審の認定は

所論のように事理に反したものではない。

同第三点について。

所論は、被上告人がDに対し本件りんごの引渡義務あることを前提とする主張で

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あるが、原判決は被上告人がDに対し本件りんごの引渡義務を負担していたことを

否定しもつて上告人の主張の理由ないことを判示しているのであるから所論のよう

な違法はない。

同第四点について。

所論は、Dにおいて本件りんごの受領権限なしとした原審の事実認定を非難し、

原審の否定した事実もしくは原審で主張判断のない事実に基き債務履行に関する擬

律錯誤を主張するものであつて理由なく、また引用の判例は適切でない。

よつて、民訴四〇一条九五条八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり判

決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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