最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)15 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
弁護人湯川忠一の上告趣意(後記)第一点について。
所論は、結論として原判決が証拠とした三名の証人の供述について被告人に審問
の機会を与えなかつたこととなるから、憲法三七条二項に違反すると主張するので
あるが、その前提として、右三名の証人を取り調べた原審第七回の公判期日の召喚
状は、被告人に不送達となつたため、被告人は出廷することができなかつたことを
理由とする。しかし記録によれば原審は被告人の所在不明のため、刑訴規則六三条
により右公判期日の召喚状を書留郵便に付して送達したものであることが認められ
るから、被告人の右公判期日不出頭は同人の責に帰すべきものである。(召喚状の
送達と右公判期日との間に三日の猶予しかなかつたからといつて何等不当はない。
刑訴規則六七条一項参照)のみならず、右公判期日には弁護人が出席して各証人に
対し審問を行つているのであるから、被告人に証人に対する審問の機会を与えなか
つたものであるということはできない。所論違憲の主張は前提を欠き採用するに足
りない。
同第二点について。
所論は、違憲をいうのであるが、所論の原審の見解と称するものは、原判決に示
されていないものであり、また所論の実質は、第一点と同趣旨を出でないことに帰
するものと認められ、その論旨理由なきこと第一点について説明したところである。
その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
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昭和二九年七月六日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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