最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)21 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人高橋万五郎の上告趣意第一点について。
憲法三七条二項後段の規定は、訴訟進行の過程においては証人尋問に要する費用
はこれを被告人に支弁せしめることなく、すべて国家でこれを支給し、被告人の無
資産などの事情のために、充分に証人の喚問を請求する自由が妨げられてはならな
いという趣旨であつて、もつぱら刑事被告人をして訴訟上の防禦を遺憾なく行使せ
しめんとする法意に基くものであり、その被告人が判決において有罪の言渡を受け
た場合にも、被告人に対し右費用の負担を命じてはならないという趣旨の規定でな
いことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第三一六号同年
一二月二七日大法廷判決「集二巻一四号一九三四頁」)。そして、裁判確定の上で
その訴訟に要した証人尋問費用を何人に負担せしめるかということは、法律をもつ
て適当に規定し得るところであるから、本件において刑訴法並びに刑訴費用法にも
とずき右費用の負担を被告人に命じたからといつて、何ら所論の如く憲法に違反す
るものではない(刑訴五〇〇条参照)。なお、本件においては国選弁護人は選任さ
れていないから、憲法三七条三項違反の論旨は、適法な上告理由にあたらない。従
つて、論旨は採用することを得ない。
同第二点は、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
また、記録を調べても、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和二九年六月二九日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
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裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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