最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)2618 決定
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
被告人の上告趣意について。
所論は事実誤認、審理不尽の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらな
い。
弁護人川越憲雄の上告趣意第一点について。
所論は違憲をいうけれども、その内容は、公判調書の記載事項を定めた刑訴規則
四四条(昭和二六年最高裁判所規則第一五号による改正後のもの)の違憲を主張す
るに帰し、何等原判決または原審の手続そのものの違憲を主張するものではないか
ら、適法な上告理由ということはできない。のみならず、右刑訴規則四四条は、通
常当然行われる事項の公判調書への記載を省略することによつて、事務の能率化・
簡易化を図つているのであり、通常当然に行われる手続がもし行われなかつたとき
は、当事者から異議を申し立てれば、それは公判調書に記載され(刑訴規則四四条
一項一四号参照)、また公判調書の記載の正確性についての異議申立の制度も存在
するのであつて(刑訴五一条、刑訴規則四八条参照)、同条に対する所論の非難は
実質的にも根拠をもたない。(昭和二八年(あ)二七三三号同年一二月一五日第三
小法廷判決、集七巻一二号二四四四、二四四六頁参照。)
同第二点について。
所論は違憲をいうけれども、その実質は採証法則違反、事実誤認の主張にほかな
らず、適法な上告理由にあたらない。
同第三点について。
所論は違憲をいうけれども、その実質は単なる刑訴法違反の主張であつて、適法
- 1 -
な上告理由にあたらない。(所論控訴趣意書第一点(一)は、刑訴三三五条二項の
主張をしたものとは認められない。
なお記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められな
い。
よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で
主文のとおり決定する。
昭和三〇年二月八日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
- 2 -