大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)321 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A外八名の弁護人向江璋悦同長谷山行毅の上告趣意(後記)第一点につい

て。

論旨は、被告人Aの検察官に対する自白調書は不当に長い勾留の後になされた自

白であるか又は不当に長い勾留と病中の勾留という不当勾留と相待つて任意性のな

いものであり、なおその他の被告人等の自白も任意性のないものであるから、これ

らを証拠に採用したことは憲法三八条二項に違反するとの主張に帰着する。

しかし、被告人Aの自白が不当に長く拘禁された後の自白であるとの事実は控訴

趣意において主張されず従つて原審の判断を経ていないので上告の事由とならない

し、事実審裁判所は適当と認める方法で供述調書の任意性を調査すれば足りるので

あつて、本件についてもその調査に違法は認められないのであるから所論違憲の主

張はその前提を欠くことにより理由がない。

同第二点及び第三点について。

所論は、単なる法令違反又は事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に

当らない。また、刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。

同第四点について。

犯情の類似した被告人間の処罰の差異が憲法一四条に違反しないことは、当裁判

所大法廷の判例(昭和二三年(れ)四三五号同年一〇月六日大法廷判決)とすると

ころであつて、この趣旨は他の多数の違反者が検挙されず或は起訴されなかつた場

合にも推し及ぼさるべきものである(昭和二六年(れ)五四四号同年九月一四日第

二小法廷判決参照)。従つて論旨のように、たとえ他の違反者が検挙処罰されなか

つたとしても原判決を目して憲法一四条に違反するものと論ずることはできない。

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その他の所論は、事実誤認又は審理不尽の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由

に当らない。また記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

昭和二九年六月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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