大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)3657 判決

主 文

原判決中被告人等に関する部分を破棄する。

本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。

理 由

被告人等八名の弁護人田村・、被告人Aの弁護人西村寛並びに被告人B、同C、

同D、同E、同F、同Gの弁護人小野正広の各上告趣意はそれぞれ別紙記載のとお

りである。

被告人等八名の弁護人田村・の上告趣意について。

所論にかんがみ記録を調べてみると、原判決は被告人等が同判決判示第一の貨物

を不法に沖縄に向け輸出すべくその実行に着手したが、官憲に発覚、検挙されたた

めその目的を遂げなかつた犯行の用に供した船舶H丸及びその附属具一切を没収す

る旨の言渡をなしていること明らかであるところ、右犯行当時の関税法八三条一項

は、同条所定の貨物又は船舶が犯人以外の第三者の所有に属し、犯人は単にこれを

占有しているにすぎない場合には、右所有者たる第三者において、貨物について同

条所定の犯罪行為が行われること又は船舶が同条所定の犯罪行為の用に供せられる

ことをあらかじめ知つており、その犯罪が行われた時から引きつづき右貨物又は船

舶を所有していた場合に限り、右貨物又は船舶につき没収のなされることを規定し

たものと解すべきこと当裁判所判例(昭和二六年(あ)第一八九七号、同三二年一

一月二七日大法廷判決)の趣旨に徴して明白である。しかるに本件記録によれば、

右船舶H丸及びその附属具は第三者たるIの所有に属することがうかがわれるので

あるが、原判決は右所有者において、右船舶及びその附属具が前記犯罪行為の用に

供せられることをあらかじめ知つていたか否かの知情の点については、何らこれを

明確にしていないのである。故に右船舶及びその附属具を没収する旨言渡した原判

決は、前記関税法八三条一項の解釈を誤つた違法があるか、又は右没収の前提要件

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たる知情の事実を確定しない審理不尽の違法があるものであつて、この点において

これを破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければならない。

よつて爾余の弁護人等の上告論旨に対する判断を省略し、刑訴四一一条一号によ

り原判決を破棄し、同四一三条に則り本件を原裁判所に差し戻すべきものとし、裁

判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。

検察官 山内繁雄出席

昭和三三年四月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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