最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)5170 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
被告人本人の上告趣意について。
所論は原審の証拠の取捨判断を非難し、ひいて事実誤認を主張するにすぎないも
のであるから、上告適法の理由とならない。
弁護人春田政義の上告趣意について。
憲法三七条二項に、刑事被告人はすべての証人に対して審問する機会を充分に与
えられると規定しているのは、裁判所の職権によりまたは訴訟当事者の請求により
喚問した証人につき、反対尋問の機会を充分に与えなければならないというのであ
つて、反対尋問の機会を与えない証人その他の者(被告人を除く)の供述を録取し
た書類は、絶対に証拠とすることは許されないという意味をふくむものでないこと、
及び被告人、弁護人等に対し反対尋問の機会を与えないで刑訴二二七条二二八条の
規定により作成された証人尋問調書を、同三二一条一項一号に該当する場合として
証拠調をしても、右憲法の条項に違反するものではないことは、既に当裁判所の判
例とするところである(昭和二三年(れ)八三三号、同二四年五月一八日大法廷判
決、集三巻六号七八九頁、昭和二年(し)一六号、同年一〇月四日大法廷決定、集
四巻一〇号一八六六頁参照)。従つて刑訴三二一条一項一号の規定を以て憲法三七
条二項の規定に違反するとなす論旨は理由がない。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
昭和三〇年一一月二九日
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最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 小 林 俊 三
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 本 村 善 太 郎
裁判官 垂 水 克 己
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