大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(し)65 決定

主 文

本件特別抗告を棄却する。

理 由

本件特別抗告の趣旨は、検察官は本件のAに対する刑訴二二七条による証人尋問

の請求に際し、被疑者等にはすでに弁護人が附せられていたにも拘らず、その弁護

人の氏名を尋問請求書に記載しなかつたのであつて、これは、請求を受けた裁判官

をしてAには弁護人が附せられていないものと認めさせ、同裁判官をして刑訴二二

八条の「捜査に支障を生ずる虞」の有無の判断にまで立入らせることなく、弁護人

なしで尋問を行わしめた結果となり、憲法三四条、三七条の趣旨に反する手続を執

らしめた。しかるに原決定は、右尋問調書の証拠調にあたり、弁護人より申立てた

前述の趣旨にかゝる異議の申立を棄却したのであつて、これは、結局前記検察官に

よる違法の手続が憲法に違反しないと判断したことになるから、原決定には憲法の

前記規定の解釈に誤りがあるというに帰する。

しかし、憲法三七条二項の規定は、受訴裁判所の訴訟手続における刑事被告人の

証人尋問権を保障した規定であつて、捜査手続における保障規定ではないと解すべ

きこと、刑訴二二八条の規定は、検察官の強制捜査処分請求に関する法律規定であ

つて受訴裁判所の訴訟手続に関する規定ではないこと、従つて刑訴二二八条二項が

同条の証人尋問に弁護人等の立会を任意にしたからといつて前記憲法の条項に反す

るものでないことは、すでに当裁判所大法廷判決の示すとおりである(昭和二五年

(あ)七九七号同二七年六月一八日大法廷判決)。されば、本件において刑訴二二

八条により弁護人なしで証人の尋問が行われたからといつて所論憲法の規定に違反

するものでないことは前記大法廷判決の趣旨に徴し明らかである。それゆえ、原決

定は所論のように憲法の解釈を誤つたものではないので本件特別抗告は理由がない。

よつて、刑訴四三四条、四二六条一項に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり

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決定する。

昭和二九年二月一六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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