大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28(れ)9 判決

主 文

原判決を破棄する。

原判決中物価統制令違反の事実について、被告人を免訴する。

被告人を懲役十月に処する。

但し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理 由

弁護人海野普吉、同位田亮次の上告趣意(後記)第二点について。

本件の令状が、臨検捜索差押許可状という名義をもつて、捜索と差押とを一通の

令状に記載してあることは所論のとおりである。しかし、捜索と差押とについて、

各別の許可が記載されていれば足り、これを一通の令状に記載することを妨げない

ものと解すべきことは、昭和二五年(れ)第八四一号、同二七年三月一九日の当裁

判所大法廷判決(集六巻三号五〇二頁)において明らかにされているところである

から、所論憲法三五条二項違反の主張は採るを得ない。また、論旨は憲法三五条一

項違反を主張するけれども、右令状が正当な理由に基いて適式に発せられ、これに

より本件捜索差押がなされていることは記録上明らかであるから、本件収税官吏の

捜索差押は適法な職務の執行と認むべく、右令状の無効を称え引いて職務執行の適

法性を否定し、これにより原判決の違憲を主張する論旨は、その前提を欠き採用の

限りでない。

同第四、五点について。

論旨は、事実誤認を前提とする法令違反、或は単なる法令違反を主張するに帰し、

いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第一点について。

所論は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかし職権で調査すると、被告人

に対する公訴事実中、物価統制令違反の事実については、昭和二七年政令一一七号

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大赦令一条八七号により大赦があつたところ、原判決は右事実を他の判示事実と併

合罪の関係として処断しているので、刑訴施行法三条の二、二条、刑訴四一一条五

号、旧刑訴四四八条、三六三条三号により原判決を破棄し、物価統制令違反の事実

について被告人を免訴し、原判決の確定した恐喝、公務執行妨害の所為について法

令を適用すると、恐喝の点は刑法二四九条一項、六〇条に、公務執行妨害の点は同

法九五条一項、六〇条に該当するところ、右は一個の行為にして二個の罪名に触れ

る場合であるから、同法五四条一項前段、一〇条に則り重き前者の罪の刑をもつて

処断すべく、その刑期範囲内において被告人を懲役十月に処し、犯情刑の執行を猶

予するのを相当と認め、同法二五条を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の

執行を猶予することゝする。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。検察官 吉河光貞関与

昭和二八年一〇月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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