最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)2029 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
被告人の上告趣意について。
論旨は事実誤認量刑不当の主張に帰し適法な上告理由とならない。
弁護人菅澄晴の上告趣意第一点について。
論旨は所論被告人の供述が、同人が高血圧に苦しんでいた時なされたものであり、
また取調官の誘導訊問にもとずくものであつて、任意性なきこと若しくは任意性な
き疑のあるものであるということを前提として、原判決の違憲及び違法を主張する。
しかし所論供述が誘導訊問等によつてなされたものであるという事実、その他任意
性を欠くものであるとの事実は記録上これを認めるに足る証跡がないから、論旨は
その前提を欠き採用することができない。(なお所論Aの供述記載謄本によれば、
被告人が本件で山形拘置所に勾留されていた当時同人は高血圧等の病気にかかつて
いたのであるが、拘禁に耐えられない程度の状態ではなく、記憶が多少薄らいでい
たことを認められるに過ぎない。)
同第二点について。
論旨は判例違反を主張するものの如くであるけれども、その実は、原判決には、
理由不備、審理不尽等の違法があるから所論援用の判例に従つてこれを破棄すべき
であると主張するに過ぎず、原判決そのものに判例違反があることを主張するもの
ではないから適法な上告理由とならない。のみならず第一審判決の判示各事実はそ
の挙示の各証拠によつて十分肯認することができるから、これを是認した原判決に
は所論のような違法はない。
なお記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて同四〇八条により主文のとおり判決する。
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この判決は、裁判官全員一致の意見である。
昭和二九年一二月二四日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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