大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)2311 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人伊藤嘉信の上告趣意第一点について。

所論は単なる事実誤認を主張するとともに、当時被告人に対し原判示のような措

置をしないことを期待することは不可能であつたと解すべきであるとの単なる法令

違反を主張するほか、大審院のいずれの判例に反するかを示さないで大審院判例違

反を主張するに過ぎず、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第二点について。

所論中、原判示の所為は法規上許されたものであり、また、被告人が判示の所為

に出でないことを期待するのは不可能であつたと解すべきであるという主張は単な

る法令違反の主張に過ぎず刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また、被告人が任

務に背く意思を有しなかつたのに判示所為を背任罪に問擬したのは判例に違背する

との主張は事実誤認を前提とする判例違背の主張にほかならず所論は前提を欠き採

用することができない。(原判決認定事実は、判示後援会は生活扶助、授産等の民

生事業を業務目的とするものであるのに、被告人は同後援会のため判示事務を処理

中、同会々長らと共謀の上、その任務に背き同会所有現金五万円を判示A株式会社

の滞納税金等の資金とする趣旨を含めて同会社に貸与すべきことを企図し同後援会

に損害を与えるべきことを認識しながら、利息、期限の定めなく無担保で同会社に

これを貸し付けよつて同後援会に財産上の損害を加えたものであるというのであつ

て、この貸与によつて同後援会が何らか財産上の利益を受けるべき約束はなく、右

は同後援会のための利殖の目的から融資したものではなかつたという趣旨に解すべ

きであるから、被告人の判示所為は刑法二四七条の背任罪を構成し、何ら同罪の構

成を妨げるべき理由のないこというまでもない。)

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また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三二年二月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

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