大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)3582 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人高安安寿の上告趣意について。

裁判所が公訴事実につきその態様において訴因たる事実よりも縮少された事実を

認定することは、被告人の防禦権の行使に実質的な不利益を及ぼすものでないから、

訴因罰条の変更手続を経る必要のないこと、ならびに公訴事実の同一性を害しない

限り傷害の事実に対し訴因変更の手続を経ることなく暴行の事実を認定しても違法

でないことは、すでに当裁判所の判例とするところである(昭和二六年(あ)七八

号同年六月五日第二小法廷判決、集五巻七号一二七七頁、昭和二八年(あ)一〇二

六号昭和三〇年一〇月一九日第二小法廷決定、集九巻一一号二二六八頁)。そして、

起訴状の罰条の誤は必ずしも公訴提起の効力に影響を及ぼさないことは、刑訴二五

六条四項により明らかである。されば、原判決が日時、場所および被害者を同じく

する被告人の本件所為につき訴因罰条の変更手続を経ることなく、刑訴二〇四条の

傷害罪と認めた第一審判決を破棄して刑法二〇八条の暴行罪を認定したとしても所

論の違法はなく、従つて違憲の主張はその前提を欠き理由がない。なお、論旨引用

の高等裁判所の各判例は、いずれも本件に適切でない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三一年一〇月一六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

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裁判官 垂 水 克 己

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