大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)381 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人宗宮信次の上告趣意第一点について。

所論は、第一審判決が証拠によらずして事実を認定し、被告人を懲役八月に処し

たのは法律に定めた手続によらずしてその自由を奪うものであり、これを支持した

原判決は憲法三一条に違反する旨主張する。しかしながら、第一審判決は判示事実

を認定する証拠として、被告人の公判廷における供述、A提出の盗難被害上申書そ

の他を挙示しているのであつて、被告人は第一審公判廷において本件被害物件の保

管者がAである事実を含む公訴事実を全面的に自白していること記録に徴し明らか

であるから、第一審判決は所論の如く証拠によらずして事実を認定した違法はない。

従つてこれを支持した原判決にも同様違法はないのであるから所論違憲の主張はそ

の前提を欠くものであつて上告適法の理由とならない。

同第二点について。

所論は、単なる訴訟法違反の主張であつて上告適法の理由とならない。(なお第

一審判決挙示の証拠のうち、司法警察員の作成に係る被告人の第一回供述調書及び

司法巡査作成の被告人に対する現行犯逮捕手続書については適法な証拠調がなされ

た形跡がないと主張するけれども、第一審第一回公判調書には検察官が別紙証拠標

目書記載の通り証拠調の請求をしたことが記載してあり、その証拠標目書中に右二

個の書類も含まれており、裁判官は右証拠調請求に対し刑訴三二六条一項の同意の

有無を問い、その各同意を得て採用決定をなしたこと、更に各証拠の証拠調順位も

記載してあること明らかであるから、前記二個の書類についてもその記載の順序に

従い証拠調が行われたものと認めるを相当とすべく、従つて所論のような訴訟法違

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反もない。)

同第三点について。

所論は、原判決は被告人提出の控訴趣意書中本件において領得の犯意がなかつた

旨の主張がなされているのに、この点について判断を違脱した違法があると主張す

るけれども、原判決は第一審判決を支持し、事実誤認等何等の瑕疵もない旨判示し

ていること判文に徴して明らかであるから、所論は採用の限りでない。

同第四点について。

被告人本人の上告趣意について。

右各所論は、いずれも量刑不当の主張であるから上告適法の理由とならない。(

記録を調べてみても、原判決の判示するとおり量刑が不当であるとはいえない。)

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和三〇年一二月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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