大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)3920 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人A、同Bの負担とする。

理 由

被告人C本人の上告趣意について。

所論は原審の証拠の取捨判断を非難し事実誤認を主張し量刑不当をいうもので上

告適法の理由とならない。(所論被告人Cの昭和二七年九月二九日附司法警察員に

対する第六回供述調書における供述が任意になされたものであることは、第一審判

決理由中特に「本件における主要な争点に対する検討」なる項目をも設けて詳細に

説示したところとその挙示の証拠によつて認められる。)

被告人Cの弁護人鶴和夫の上告趣意第一点について。

所論は、憲法一四条違反を主張するが、原審で控訴趣意として主張せず、その判

断を経ていない第一審審判の違法、違憲を主張するものに外ならず、上告適法の理

由とならない。

同第二点について。

所論は、憲法三八条二項違反をいうが、所論被告人Cの司法警察員に対する第六

回供述調書が任意性を有するものであることは同被告人本人の上告趣意に対し説示

したとおりであるから、違憲の主張は前提を欠き採用することができない。

同第三点について。

所論は理由不備をいう単なる訴訟法違反の主張をいでないから上告適法の理由と

ならない。(所論被告人Cの控訴趣意書第一点には、何ら、第一審相被告人D、A

の身柄処遇の優待に比し被告人Cが厳格不利な処遇を受けそれが被告人等の第一審

公判廷供述に不法な影響を与えた旨の主張はなされていないこと記録上明らかであ

る。次に、第一審判決は特に「本件における主要な争点に対する検討」なる項目を

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も設けて所論諸富弁護人の控訴趣意において指摘する証拠について判示していると

ころ、原判決は「第一審判示第一事実に対する証拠として挙示しているところを綜

合すると右事実が敢行されたことを肯認するに足り右認定を覆えすに足る証拠はな

い」とし、もつて、右主要争点に関する証拠の証拠能力、信用性を肯定する第一審

判示と同様の判断を示した趣旨と解することができる。されば所論はすべて前提を

欠く。)

同第四点は単なる事実誤認の主張、同第五点は単なる量刑不当の主張をいでず、

いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人Bの弁護人副島次郎の上告趣意第一点について。

所論は、本件捜査、勾留、出廷等につき、警察職員、検察官等は被告人A、原審

相被告人Dを優遇し被告人B、C、原審相被告人Eを冷遇し、第一審裁判所もこれ

を黙認し差別待遇をしたといい違憲をいうけれども、かような主張のうち、(イ)

原審の認定しないかような待遇上の事実を主張してこれを非難する違憲の主張は前

提を欠き、また(ロ)相被告人たる他の共犯者との間の量刑の不均衡をいう点は、

元来、事実審裁判所が犯情の差異により共同被告人の一人を他の被告人より重く処

罰したからといつてこれを目して憲法一四条に違反するということはできないもの

であること、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)四三五号、同年一〇月六日大法廷

判決、集二巻一一号一二七五頁)の趣旨に照らして明らかであるから、第一審判決

を是認した原判決は相当であり、所論はすべて採用することができない。

同第二点について。

所論は単なる法令違反の主張にすぎず刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(被

告人Bの犯罪事実の証拠たる第一審判決挙示の同公判廷における相被告人等及び証

人等の供述が任意性のないものであることは記録上認められない。)

同第三点は事実誤認の主張で、上告適法の理由とならない。

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同第四点について。

所論は単なる法令違反の主張で刑訴四〇五条に当らない。(被告人Bが所論のよ

うなやむにやまれぬ特別の事情にあつたことは第一、二審判決の認定しないところ

であるから、これを前提として同被告人に罪責なしとする所論は採用できない。そ

して、第一審判決が認定した犯罪事実その他の事実関係によれば同被告人の所為が

刑法上無罪となるべき何らの理由はなくその所為は判示のとおり刑法一九九条、六

二条一項に該当するこというまでもない。)

同第五点は単なる量刑不当の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人A、同Bの弁護人伊藤幸人の上告趣意第一点は単なる事実誤認、法令違反

の主張であり、同第二点は単なる法令違反の主張で、しかも右被告人両名を幇助で

なく共同正犯をもつて処断すべきであるという被告人本人に不利益な主張であつて、

いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条、一八一条(被告人A、同Bにつき)により裁判官全員一致の

意見で主文のとおり判決する。

昭和三三年一一月四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

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