大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)548 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人島野武の上告趣意第一点について。

原判決が没収した短刀一振(証第二号)は判示第六の銃砲刀劒等所持取締令二条

違反罪の組成物件であつて被告人以外の者に属しないこと記録上明らかであるから、

刑法一九条一項一号二項により適法にこれを没収し得べきものである。従つて原判

決が右短刀を没収するにあたり前記取締令三〇条を適用したのは法令違反のそしり

を免れないが、右短刀が没収の対象となり得ること前述の通りである以上、右違法

は未だ刑訴四一一条による破棄の事由となるものとは認められないし、又、所論の

ように原判決は何等の根拠もなく財物を没収して財産権を侵害したものとなすこと

もできないこと明らかであるから、所論の違憲の主張は前提を欠き、理由がない。

同第二点について。

原判決の主文のうち没収及び訴訟費用の負担の点については原判決の適条は明確

であり(没収の根拠法条の誤については既に判断を示した)、その余の被告人に懲

役刑を科した部分は、被告人に数個の前科がある関係上、第一事実につき懲役二月、

第二、第三事実につき懲役四月、第四、第五、第六、第七事実につき懲役一年に処

するとなつているが、その適条もこれに対応し、先づ第一事実につき該当法条並び

に刑法の併合罪及び累犯に関する法条の適用をも示して一段落をつけ、次に第二、

第三事実について同様適条の一段落をつけ、更に第四乃至第七事実について同様適

条の一段落をつけていること判文上明らかである。従つて、原判決が、所論のよう

に単に無秩序に法条を羅列し如何なる法令を適用して主文の判断をするに至つたか

が判らなくなつているということはできない。(ただ原判決の適条には、刑法四五

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条の前段と後段、同二四九条の一項と二項の区別、同二〇四条、二〇八条及び銃砲

刀剣類等所持取締令二六条の各所定刑の選択を明示せず、刑法一〇条と同一四条と

の適用順序を顛倒し、同五九条を適用すべきでないのに適用したような精密さを欠

く瑕疵があるけれども、これらの瑕疵は未だ刑訴四一一条の破棄の事由となるもの

とは認められない。)故に原判決には所論引用の最高裁判所の判例に違反するとこ

ろはなく、論旨は理由がない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和三〇年一二月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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