大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(オ)678 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人山田思郎の上告理由第一点について。

所論は、代理権の認定について原判決の理由にくいちがいがあると主張する。所

論の理由とするところを、原審の判示説明と引用の証拠とによつて検討してみると、

原判決の趣旨は、訴外D、同Eの両名は、なんらその権限がないのに、違約損害金

債務の代物弁済として被上告人の所有に属する大工小屋一棟及び松立木二本を上告

人に譲渡したという事実と、その当時上告人は、右訴外人等が右各物件を譲渡する

なんらの権限もなかつたことを知つていたという事実とを認定し、従つて上告人が

右各物件を「処分して得た利益は、法律上何等原因なくして不法に取得した」もの

であると判断したのであること明らかである。原判決は、この結論に至る経過の説

明に語辞適切でないところがあり、所論の指摘するような非難を生ずることも無理

からぬことであるが、判文全体の趣旨は右に示したところに尽きるのであつて、理

由にくいちがいがあるとはいえない。所論は採用できない。

同第二点について。

所論は、本件不当利得返還義務の範囲について、原判決の理由にくいちがいがあ

ると主張する。しかし原審の是認した第一審判決が上告人に支払を命じた金額は、

記録を調べてみると、本件代物弁済当時の価額として上告人の第一審以来認めると

ころと同一の額であり(二二丁上告人の釈明)、当審に至つて右と反する主張をし

ても、特段の事情の認められない本件にあつては、これを適法な主張とは認められ

ない。また第一点に説示したように、原判決は、上告人は本件大工小屋及び松立木

を取得する法律上の原因がない悪意の受益者であると認定し、その当時の利得金額

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と利息の支払義務を認めたのであつて、その判断に誤はない。そして本来なんら権

限のない前記訴外人等の定めた違約損害金の数額は、上告人の利得返還義務の範囲

を定めるにつき考慮することを要するものではない。原審は、経過の説明上これに

触れたに止まり不必要な判示たるにすぎないと認めるのが相当である。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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