大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(オ)755 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人清瀬一郎同内山弘の上告理由について。

上告人は本訴において被上告人両名に対し本件船の売買契約が解除され右船の所

有権が上告人に復帰したことを主張して本件船の返還を求めるとともに、被上告人

両名は、契約解除後もなんら法律上の原因がないのに拘らず昭和二三年二月以降同

二四年四月まで上告人所有の右船を占有使用し同船による底曳網漁業を共同経営し

て利益を挙げ上告人に損害を及ぼしているから、上告人に対し不当利得返還の義務

があるので、上告人は、右期間同船による出漁によつて得べかりし水揚純利益金六

〇万円のうち金四〇万円並びにこれに対する本件訴状送達の翌日以降年五分の遅延

損害金の支払を求めるというにあること記録上明らかである。そして原判決は右不

当利得返還義務の存否については明瞭な判断を示していないけれども、原判決によ

れば(1)被上告人B1は昭和二元年二月一二日上告人との間の売買契約に基く債

務の履行を完了して本件船の所有権を取得し(2)被上告人B2が現に右船を占有

使用しているのは、所有者たるB1との漁業共同経営契約により操業のためB1か

ら引渡を受けたことに由来するものであるというのであるから、右(1)(2)の

認定事実によれば、被上告人両名は上告人の財産に因り法律上の原因なくして利益

を受けたものでないこと自ら明らかであり、従つて原判決は上告人の前記不当利得

返還請求を理由ないものとして排斥した趣旨であることを窺うことができる。しか

も原判決主文は無条件に控訴を棄却しているのであるから、不当利得返還請求につ

いての控訴も棄却したものと解するのがむしろ当然である。それ故、原判決は簡に

失するきらいはあるが、決して判断を遺脱したのではなく、結局において正当であ

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るから、論旨は採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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