大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(あ)1885 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A外十一名の弁護人海野普吉、同高橋禎一、同柳沼八郎の上告趣意第一点

について。

原判決の引用する第一審判決認定の事実によれば、被告人等の行為は、所論のよ

うに投票買収の共謀者間で順次行われた買収資金の授受行為ではなく、被告人等自

身が選挙運動に対する報酬として金銭の供与を受けた行為であるから、論旨引用の

判例の場合とは異なるので右判例は本件に適切でなく、原判決は少しも右判例と相

反する判断をしたものではない。そして、被告人等が供与を受けた金銭中に他の選

挙人又は選挙運動者に交付すべき金銭が含まれていたとしても、選挙運動の報酬と

不可分の関係にあるのであるから全部の金銭について受供与罪が成立するので、こ

の点に関する所論も採用することができない。されば、被告人等の行為が受供与罪

とならないことを前提とする憲法三一条違反の主張も理由がない。

同第二点について。

所論は、原審が被告人B同Cの各控訴を棄却するにつき決定によらないで判決で

したことは、憲法三二条に違反するというのであるが、かかる主張は、その実質に

おいて訴訟手続法違反の主張にすぎず違憲の主張といえないばかりでなく、憲法三

二条は、すべて国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける

権利を有し、裁判所以外の機関によつて裁判をされることのないことを保障した趣

旨であること、当裁判所大法廷判決の判示したところであるから(昭和二三年(れ)

五一二号同二四年三月二三日大法廷判決、集三巻三号三五二頁)所論は採用するこ

とができない。

同第三点について。

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所論は、原判決は被告人Dから二〇七円、同Eから二二七円をそれぞれ追徴(論

旨には夫々二百円とあるもDからは二〇七円、Eからは二二七円を追徴したことの

誤記と認める)する旨言い渡しているが、右被告人等はF外七名に対しG候補から

来た酒だといつて一人前一〇七円相当の酒肴を饗応した者であつて、饗応を受けた

者ではないので、同人等から追徴することは、公職選挙法二二四条の解釈を誤り憲

法三一条にも違反すると主張する。しかしながら、被告人D同Eは右饗応罪のほか、

被告人DはHより選挙運動の報酬等として同被告人外二名分として一五〇〇円の供

与を受け(第一審判決第一事実)、被告人EはDより選挙運動の報酬等として同被

告人外一名分として一〇〇〇円の供与を受け(第一審判決第二事実)た行為につき

有罪とされており、第一審判決挙示の証拠によれば、被告人D同E両名とも右供与

を受けた金銭中各自の追徴額以上の金銭を費消していることが窺われるので、原判

決が右事実につき収受した利益を没収することができない場合として公職選挙法二

二四条後段に従いその価額を追徴したことは、もとより正当であつて、原判決は右

法条の解釈を誤つたものではないから、所論違憲の主張は前提を欠き理由がない。

同第四点について。

所論前段は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。な

お論旨後段は、原審が刑訴四〇〇条但書による破棄自判の権能を濫用したことを前

提として憲法三一条違反を主張するが、かかる濫用は認められないので、論旨は前

提を欠き理由がない。

被告人Iの上告趣意について。

所論は、事実誤認及び量刑不当の主張を出でず、刑訴四〇五条の上告理由に当ら

ない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

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昭和三〇年一二月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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