大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(あ)2186 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人藤本猛の上告趣意は原判決の控訴趣意に対する判断に法令解釈の誤解があ

るという訴訟法違反の主張、原審で主張判断を経ていない・唖減刑事由説示の欠缺

の主張、事実誤認及びこれを前提とする法令違反の主張並びに単なる量刑不当の主

張に帰し、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。(第一審判決の認定し

た事実によれば、被告人は豆腐小売業を営んでいる中被害者Aの妻であつて同じく・

唖者であるBと懇ろとなり肉体関係を結ぶに至り終にはAと協議離婚の上正式に結

婚しようと謀り、Bと共謀して寧ろAを殺害し事態を押し入り強盗の所為に装おう

として判示殺害の所為に及んだものであるというにあり、又、第一審判決を是認し

た原判決の認定した情状によれば、被告人は不具の身をもつてよくその家業である

豆腐商の仕事に励み二児を養つていたものであるというにある。被告人が犯行当時

かような行動をなし得る状態にあつたということはとりも直さず被告人が・唖者で

あつてもなお行為の是非を弁別しその弁別に従つて行動を自制する能力を有してい

た者であること、換言すれば、かような能力を有しない責任無能力の・唖者ではな

かつたことを意味するものであり、原判決はその趣旨を判示しているものであると

いうことができる。されば第一審判決は刑法四〇条後段を適用するに当り、同条前

段を適用せず後段を適用する理由を判示しているものであり、これを肯認した原判

決も同様これを判示しているものと解することができる。)

また記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で

主文のとおり決定する。

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昭和三〇年一一月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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