最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)53 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人の上告理由第一点について。
論旨摘録の原判示部分は、措辞稍々明瞭を欠く嫌があるけれども、原判決挙示の
証拠によれば、要するに、DはEに対する債務の代物弁済として、本件家屋を譲渡
することになつたが、その敷地に関する被上告人とDとの賃貸借契約においては、
賃借権の譲渡を禁止する特約があつたため、Dは家屋の譲渡に際し敷地の賃借権を
ともに譲渡することができず、このことをEにはかつたところ、敷地は同人におい
て改めて被上告人から賃借するという諒解ができたので、Dは昭和二六年九月被上
告人との間の土地賃貸借契約を合意解除した上、同年一〇月本件家屋をEに譲渡し
た、そこでEは被上告人に対し土地の賃借方を申し入れたが被上告人の承諾すると
ころとならなかつたという趣旨であることを窺うことができる。右事実関係によれ
ば、Dと被上告人との間でなされた本件賃貸借の合意解除は信義に反し、又は権利
の濫用であると云えないこと明らかであるから、所論は採用することができない。
同第二点について。
原審は、本件土地の賃貸借は、Eが本件家屋の所有権を取得する以前においてす
でに消滅していたから、同人は家屋の買取請求権を有せず、F亦同様である旨を判
示したものであつて、この判断は正当であり、論旨引用の判例は、本件に適切でな
い。所論は採用しえない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
- 1 -
裁判長裁判官 小 林 俊 三
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 本 村 善 太 郎
裁判官 垂 水 克 己
- 2 -