大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)570 判決

主 文

原判決中上告人敗訴の部分を破棄し、本件を名古屋高等裁判所金沢支部

に差し戻す。

理 由

上告代理人新崎武外の上告理由について。

手形裏書人の手形金の償還義務は、裏書という手形行為によつて原因関係と独立

に発生するものであり、もとより裏書をなすことによつて当然に振出人の負担して

いる原因関係上の債務を保証したものとはいえないけれども、、第三者が手形振出

の原因となつた事情を知つてその手形に裏書をするようなときは、事情によつて、

右第三者が振出人の原因関係上の債務を保証する趣旨で裏書をしたものと認めるべ

き場合がないとはいえないのである。

本件についてみるに、原審被控訴人Dと上告人とが判示漁網売買契約を合意解除

し、Eにおいて、その代金として受領していた金三、二二〇、〇〇〇円のうち金一、

九九八、〇〇〇円を上告人に返還する旨を約し、当時手許不如意のため現金による

支払が困難であつたところから、その返還債務の支払方法として本件手形を振出し

た上、被上告人B1、同B2およびF(被上告人B3、同B4、同B5、同B6、

同B7および同B8ら六名の先代)の三名において順次右手形に裏書をなしたこと

は、原審において確定されたところであり、更に、Dが右手形の振出をなすにあた

り、上告人の代理人Gから、Eの振出だけでは不十分故保証人を立てるよう要求さ

れてこれを応諾し、実弟の被上告人B1、知人の被上告人B2およびFの三名に対

し手形振出の事情を説明し右保証の趣旨で手形の裏書を依頼し、それぞれ同人らの

裏書を得た事実を認めるに足る証拠(Gの証言、B1、Dの各本人尋問の結果等)

も存するのである。したがつて、右の証拠により叙上の事実が認定されるときは、

これと原審認定の前記事実とを併せ、他に特段の事情のない限り、右裏書人三名に

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おいてDの上告人に対する前示代金返還債務を保証する趣旨で手形の裏書をなした

ものと認めるのが相当である。

されば、前掲証拠の存在を看過し、右各裏書のなされるに至つた理由につき首肯

するに足る特段の事情を示すことなく、単に「前示G証人の証言によつても右裏書

が手形の基本債務の連帯保証としてなされたものと迄は認め難く、その他本件にお

いてはD以外の被控訴人等が本件返還債務を保証したとの特約の存在を証するに足

る資料がない」と判示したのみで、上告人の被上告人らに対する請求を排斥すべき

ものとした原判決は、審理不尽ならびに理由不備の違法を免れないから、論旨は理

由があり、原判決中上告人敗訴の部分は破棄すべきものである。

よつて、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

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