大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)731 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人勅使河原安夫の上告理由第一点について。

所論は、要するに原判決が、無効である判示(二)の契約を有効と認定したのは

違法であるというに帰する。しかし原審は、所論(一)の契約の一方の当事者であ

る合資会社Dなるものの存在しないことを確定したのであるから、契約においてE

がこれを代表したからといつて効力を生ずるに由なく、従つて他方の当事者であつ

た被上告人Bが、改めてE個人と(二)の契約を締結したのは全く別個の契約が成

立したのであつて、(一)の契約の効力と消長を共にすべきなんのいわれもない。

また(一)の契約における所論会社は不存在であるから、Eにこれを代表する関係

なく、従つてまた利益相反の関係も生じない。特別代理人の所論は前提において失

当である。

同第二点について。

所論は、原判決は、上告人の要素の錯誤の主張について判断をしていないと主張

する。記録によると、上告人が右の主張をしたことは、参加申立書(二一八丁)中

参加の理由三の記載と口頭弁論における陳述(二二三丁)によつて認められる。し

かし原判決は判示のような経過の下に、順次(一)(二)(三)の各契約が締結さ

れたことを認定し、さらに判示のように「北支から帰還した参加人が前示各契約を

知りこれを承認した」と認定しているから、その趣旨は錯誤の主張を否定したもの

にほかならない。また上告人が要素の錯誤と主張する理由について、記録を調べて

みると、錯誤としても要素の錯誤に当らないこと明らかであるから、原判決の判断

は正当であつて、結局所論の違法がありとするに足りない。

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同第三点について。

所論は、原判決は契約の効力の判断について違法があると主張する。しかし原判

決には採証法則の違反はなく、結局所論は、原審の正当な証拠の取捨ないし事実認

定を非難するに帰し採用できない。

上告代理人鍛治利一の上告理由第一点について。

所論は、所論の理由によつて、乙二、三号証に記載するような、Eが所論(二)

の契約の買主たる権利義務の一切を被上告会社に譲渡したとの事実は、実験則上認

めることはできないと主張するに帰する。しかし記録によれば、所論の事実を肯定

するに足る証人の供述も存するのであるから(一八〇丁、一八二丁裏ないし一八三

丁裏)、原判決に実験則違反があるというのは当らない。従つてまた審理不尽、理

由不備も認められない。

同第二点について。

所論は、原判示の(一)の契約が無効であるから、これを前提とする(二)(三)

の契約もまた無効であるというに帰する。所論は、結局原審の適法にした証拠の取

捨ないし事実認定を非難するにすぎず採用できない。(原審は、(一)の契約につ

いて、BがD木工所なる会社の不存在と、従つて契約の無効なことを知つたので、

改めて(二)の契約を締結したと認定したのであつて、所論のような結論を生ずる

理由がない)。

上告人A本人の上告理由について。

所論は、結局原審の適法にした事実認定を非難し、あるいは原審の認定と異なる

事実に基いて原判決を非難するに帰し、採用のかぎりでない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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