大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)738 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人森田重次郎の上告理由第一点および第四点について。

原判決は、所論の点に関する上告人(控訴人)両名の供述を措信しえないものと

判断したのであるから、乙二号証その他の証拠によつては所論事実を肯認するに足

りないと判示したのであつて、右判示には所論のような採証法上の違法はない。論

旨は、独自の見解のもとに原判決を攻撃するが、その実質は原審が適法にした証拠

の取捨、事実の認定を非難するに帰するので採るをえない。

同第二、三点および第五点について。

本件において物価統制令に違反したのは、上告人Aと訴外Dとの間の売買であつ

て、被上告人の上告人Aに対する貸金自体は統制違反行為ではないから、所論のよ

うに「刑罰法規」を犯すことが当然「公序良俗」に反するとしても、そのことは本

件当事者間の貸金契約に当らないこというまでもない。被上告人は単に上告人Aの

統制違反の売買の事実を知悉の上、その買受資金を貸与したのにすぎないのである

から、その貸金の行為につき公序良俗違反の有無を判断しうることは当然である。

そして、原判決の認定する事情のもとにおいてなされた被上告人と上告人Aとの間

の本件金銭消費貸借の成立するまでの過程には、多少不法の点があつたとしても、

本件消費貸借自体は、公序良俗に反する事項を目的とした法律行為でもなく、道義

的に著しく非難されるべきものとも認められないので、民法七〇八条によりその給

付したものの返還を請求することをえない場合に当るものということはできない。

されば、右と同趣旨の判断をした原判決は肯認しえられるので、原判決には所論の

違法はない。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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