大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)742 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中筋義一、同中江源の上告理由第一点について。

所論は、原判決に理由のくいちがいまたは理由不備の違法があると主張する。原

判決に所論の摘示するような判示記載の存することは所論のとおりである。しかし

原判決は、右判示において、本件衝突事故の被害者及び相続人等を原告、本件両当

事者を共同被告とする大阪地方裁判所昭和二五年(ワ)第一六四二号損害賠償請求

事件において、本件両当事者が判示のような敗訴の判決(甲第一号証)を受けたこ

とは争いなく、また上告人が原告等から仮執行を受けたため判示金員を原告等の代

理人に支払つたことは明らかであるという事実を示したにすぎず、すすんでこれに

基く終局の判断において、右判決(甲第一号証)は、未確定の判決であるから求償

権の原因たる連帯債務の存在を認める証拠とするに足りないとし上告人の請求を排

斥したのであつて、その間理由になんのくいちがいも不備も認めることはできない。

そしてまた所論は、仮執行宣言付判決に基く強制執行は、原則として確定判決に基

く強制執行と全く同様であるという前提の下に、原判決の理由不備の主張を強調す

るけれども、仮執行宣言付判決によつて強制執行を受けたと同様の支払をしたから

といつて、判決確定前に所論の連帯債務ないし求償権の関係が確定するものでない

ことはいうまでもない。従つて原判決が「単に仮執行宣言付判決にもとずく執行を

受けたというだけでは求償権の発生を認めるに由ない」と判示したのはもとより正

当であつて、論旨はとることを得ない(民訴法は、当事者の一方に仮執行の宣言の

申立を許すと同時にその相手方に仮執行免脱の宣言の申立を許している外〔民訴一

九六条二項〕、上訴をした敗訴の当事者に保証を立てて執行の停止又は取消を求め

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る途を開いている)。

同第二点について。

所論は、仮執行宣言付判決の既判力は、確定判決と同様に当事者の何人をも拘束

すると主張し、原判決に民訴法の解釈を誤つた違法があると主張する。しかし所論

の判決が未確定であることは当事者間に争いがないのであるから、既判力をいうの

はすでに当らないのみならず、仮りに右判決が確定したからといつて、被害者に対

し互いに共同被告たるにすぎない本件当事者双方に対し、右判決自体が(連帯債務

ないし求償権関係を認める証拠となりうることは格別)、なんの既判力を生ずるも

のでもなく、所論は独自の見解を主張するにすぎない。ひつきよう所論は、原審が

上告人の請求を認めるためには、上告人が連帯債務の存在を立証しなければならな

いとし、上告人の提出した判決(甲第一号証)は未確定であるから、これだけでは

右の存在を認めることはできないとした判断を抗争するにすぎずとうてい採用する

ことはできない。

同第三点について。

所論は、原判決は、民訴四三二条、四四二条を適用しない違法があると主張する

が、原審と異なる独自の見解を前提として原判決を攻撃するのであつて、採用でき

ないこと前記各論旨について説示したとおりである。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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