大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)901 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人小脇芳一の上告理由第一点について。

記録によると、所論のように上告人が鉄道省の代理権を有しなかつたということ

を否認しているかの如き点も認められないではないが、原審において当事者の援用

にかかる第一審判決事実摘示に仮定抗弁としてではあるが、「被告(上告人)の如

き一商人を官庁のかかる重要な取引の代理人とすると言うことが常識に反するに拘

らず云々」と主張し、上告人自ら自己に代理権のあり得よう筈のないことを進んで

自認することによつて、前段における否認の答弁そのものを打消す態度を表明して

いること、原審において、上告人はその本人尋問において、同人自ら明瞭に鉄道省

の代理人でなかつた旨述べていること(この点は同人の第一審における本人尋問の

場合も全く同様である。)、を併せ考えると、むしろ上告人の前記否認の答弁は右

の範囲で制限せられ、結局口頭弁論の全趣旨に照らし、被上告人の前記主張を上告

人において明らかに争わなかつたものと解される。してみれば、原審が右の主張に

ついて擬制自白ありとして証拠による事実認定に入らなかつたのも、違法とはいえ

ない。

同第二点について。

原審の確定した事実によると、被上告人において、代理権を証する書面の提出を

求めることも、又鉄道省資材局に受権の有無を確めることもしなかつたことのほか、

所論契約高並に商人対官庁間の取引の方式の特殊性等を考慮に入れても、なおかつ、

上告人に代理権がないことを知らなかつたことにつき被上告人に過失がないとした

原審の判断は首肯することができるから、所論は理由がない。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 垂 水 克 己

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