大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)1639 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用はその二分の一を被告人Aの負担とする。

理 由

被告人A外七名の弁護人古野周蔵の上告趣意第一点について。

論旨は原判決に適用された暴力行為等処罰に関する法律は憲法九八条に違反する

無効のものであり原判決の是認した第一審判決判示第二及び第三の所為に同法律を

適用した原判決は憲法二八条、九八条に違反すると主張する。しかし、暴力行為等

処罰に関する法律一条一項が、憲法二八条、九八条に違反せず、また、このような

犯罪が成立する以上その行為は違法であり、その処罰が憲法二八条に違反しないこ

とは当裁判所大法廷の判例とするところである(昭和二五年(れ)九八号同二六年

七月一八日大法廷判決、集五巻八号一四九一頁、昭和二二年(れ)三一九号同二四

年五月一八日大法廷判決、集三巻六号七七二頁)。原判決が憲法の右各条に違反し

ない右法律一条一項を右判示所為に適用したのは相当であつて、論旨は理由がない。

同第二点について。

所論は「原判決が住居侵入罪の成立を認めた第一審判示第四の事実は、判示社長

Bの従来の通路で前に労働運動上の示威行為が行われたところであるが、同人は再

び争議団員が来ることを予知して通常自由に立入りできる個所であるここに障壁を

設けたため、示威行進をして来た本件争議団員中の先頭の者がこの障壁を取り外し

示威行進を続け前庭内の通路部分を一通りしたという関係において行われたもので

ある」との事実を主張し、これを前提として法令違反及び憲法二八条、九八条違反

をいうが、かような事実は第一、二審判決の認めていないこと判文上明白であるか

ら、所論は結局上告適法の理由とならない原判決の事実誤認を前提とする違憲、違

法の主張に帰し、採用することができない。〔暴行脅迫のような犯罪行為が争議権

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の範囲内にあるものとして正当化されるものでないことは当裁判所大法廷の判例と

するところ(前記昭和二四年五月一八日判決)であり、この判例の趣旨によれば住

居侵入が争議権の行使として合憲とされることはないというべきである。(昭和二

六年(れ)七八二号同二六年七月一二日第一小法廷判決、集五巻八号一四三二頁参

照)。〕

同第三点、第四点について。

所論はいずれも単なる事実誤認及び法令違反の主張をいでず刑訴四〇五条の上告

理由に当らない。

被告人Aの弁護人斎藤義夫の上告趣意第一点について。

論旨中、証拠のない住居侵入の事実を認めたことの違法及び事実誤認をいう点は

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また判示住居侵入は判示労働者の団体行動権

行使の目的に出でたものであるから住居侵入罪は成立しないとして違憲をいう点の

採用できないことは前記古野弁護人の上告趣意第二点後段において説示したとおり

である。

同第二点は事実誤認の主張に過ぎず刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和三三年七月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

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