大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)1655 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を福岡高等裁判所に差し戻す。

理 由

弁護人磯村義利の上告趣意は末尾記載のとおりである。

職権により調査するに、第一審判決は被告人に対する恐喝の公訴事実について犯

罪の証明がないとして無罪を言い渡し、これに対し原控訴裁判所は何ら事実の取調

をすることなく、第一審判決を破棄し、訴訟記録並びに第一審裁判所において取り

調べた証拠のみによつて、直ちに恐喝の犯罪事実を確定し有罪の判決を言い渡した

こと明らかである。かようなことは刑訴四〇〇条但書の許さないところであり(昭

和二六年(あ)第二四三六号同三一年七月一八日大法廷判決、集一〇巻七号一一四

八頁)、右違法は原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認むべきであ

る。

よつて上告趣意に対する判断をするまでもなく刑訴四一一条一号により原判決を

破棄し、同四一三条本文により本件を原裁判所である福岡高等裁判所に差し戻すべ

きものとし、裁判官垂水克己の後記少数意見あるほか裁判官全員一致の意見で主文

のとおり判決する。

裁判官垂水克己の意見は次のとおりである。

刑訴法四〇〇条但書は第一審判決が公訴にかかる犯罪事実の証明がないとして無

罪を言い渡した場合においても、控訴裁判所が口頭弁論を開いてこれに基き判決す

る以上、訴訟記録及び第一審で取り調べた証拠のみによつて犯罪事実を確定し有罪

判決を言い渡すことを禁ずるものではないから、多数意見の判示理由により原判決

を破棄し差戻すべきものではない。その詳細の理由は昭和三一年(あ)三一八五号

同三三年二月一一日第三小法廷判決中の私の少数意見に示すとおりである。

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検察官 山内繁雄出席

昭和三三年三月二五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

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