大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)2028 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人大塚重親の上告趣意第一点について。

論旨は、原判決において被告人が、原判示C及びDを原判示A方に接客婦として

雇傭の斡旋をして、職業の紹介をした事実を認定しているけれども、被告人は、右

Aより、求人の申込を受けたことがないから、原判決は、職業安定法にいわゆる職

業紹介とは求人及び求職の申込を受け、その申込をした者の間に介在して雇傭関係

の成立のための便宜をはかりその成立を容易ならしめる行為を指称するとした最高

裁判所の判例に違反していると主張する。

しかしながら、被告人が所論の職業を紹介した際、右Aより、求人の申込を受け

て居なかつたとの事実は、原審の認定せぬ所であるばかりでなく、原審において全

く主張判断がない。かゝる事実を前提とする判例違反の主張は、上告適法の理由と

ならないから、これを採用し得ない。(しかも、原審挙示の証拠によれば、右Aは、

接客婦の雇入を欲して居る際、被告人と通謀し或はその指示を受けた原審相被告人

Bの慫慂を受け、同相被告人が伴つて来た、かねてより接客婦の職を求めている右

C或はDに面接し、その結果同相被告人に右両名の雇入をそれぞれ申込み、原判示

雇傭関係の成立した事実を認定し得られる。たゞ、同相被告人に慫慂せられる以前、

右Aが求人の申込をした証拠が必ずしも明確でないのみである。原判決及びその維

持する第一審判決は、右雇傭関係成立に至る迄の経緯を「接客婦として雇傭の斡旋

をし」と表現しているのであつて、この表現は、これに対する証拠と相俟つて、求

人の申込と求職の申込とがあり、この申込をした両者間に介在し、雇傭関係の成立

のための便宜をはかつた趣旨を理解するに難くない。)

同第二点について。

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論旨は、憲法違反をいうが、その実質は、単なる法令違反の主張であるから、刑

訴四〇五条所定の上告理由に当らない。

論旨は採用し得ない。

同第三点について。

論旨中引用せられる、被告人の妻Eに対する児童福祉法違反被告事件において、

右Eの売淫せしめた婦女と、本件において、被告人が売淫に因る利益を分配するこ

とを約した婦女とは、偶々同一ではあるけれども、この二つの事件は、事実及び法

律関係を全く異にする別箇のものであつて、その一方の成否によりその他方の成否

が左右されない。従つて右Eに対する児童福祉法違反事件の確定が、本件の事実認

定に何等、影響を及ぼすものではない。

論旨は、結局事実誤認の主張に帰するのであつて、刑訴四〇五条所定の上告理由

に当らないから、採用し得ない。

同第四点について。

論旨は、結局事実誤認の主張を出ないのであつて、刑訴四〇五条所定の上告理由

に当らないから、採用し得ない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三四年九月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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裁判官 高 橋 潔

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