大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)3129 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は上告人の負担とする。

理 由

弁護人小林亀郎の上告趣意について。

第一審判決挙示の証拠によれば、被告人は判示の日時頃A、Bとともに判示炭坑

の判示場所附近に置かれてあつた判示鎧装ケーブル線を窃取しようと共謀した上、

右両名とともに右の場所に赴き先ず被告人の手で右鎧装ケーブル線十五、六米位を

持ち上げ右両名はその後の方を持つてこれを右場所からかつぎ出して来る途中係員

より発見せられ被告人ら三名は一旦逃げたが更に右両名の手で右ケーブル線十五、

六米の部分をかつぎ詰所の前を通り過ぎ二五米離れた巻場の裏まで赴き荷作りした

事実が認められるから、この事実によれば、被告人ら三名は判示Cの管理する右鎧

装ケーブル線十六米位を自分らの実力支配の下に移したものであつて、窃盗の既遂

罪が成立すること明らかであり、第一審判決及びこれを是認した原判決がこれを窃

盗罪として刑法二三五条をもつて問擬したことは正当である。(なお第一審判決挙

示の証拠によれば、被告人らの窃取着手当時監視員がこれを現認していたことは所

論のとおりであるが、右は何人かが果してケーブルを窃取するものなりや否やを見

極めんとするためであつて決して窃取に同意していたものでないこと明らかである

から右は窃盗罪の成立を妨げるものではない。)引用の判例は、行為者が窃取の目

的で他人の邸宅内土蔵の軒先にあるケーブル線の輪のケーブル線を地上を引きずつ

ただけであつて窃盗既遂罪が成立しない場合であるから、事案を異にし本件に適切

でない。論旨は理由がない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものと

は認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で

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主文のとおり決定する。

昭和三二年一月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

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