大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)432 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人の上告趣意について。

所論第一点は、第一審判決判示第一の横領罪については、刑法二四四条(親族相

盗)の規定が準用されるから、刑法二五二条一項の横領罪に当らないと主張する。

しかし所論は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らな

いのみならず、原審で主張も判断もなかつた事項であるから、適法な上告理由とな

らない(なお所論のように、本件被害者Aが被告人の実母Bの兄に当るとしても、

記録によれば右Aは本件について被告人を告訴している事実が認められるから、刑

法二四四条一項後段の場合に当り、従つて第一審判決及びこれを是認した原審判決

は適法であつて所論のような誤はない)。

所論第二点は、心神耗弱の主張であるが、第一審、第二審を通じてかかる主張を

した形跡なく、従つて原審のなんら判断しないところであるから、適法な上告理由

と認められない。所論第三点は、量刑不当の主張に過ぎず、刑訴四〇五条の上告理

由に当らない。

弁護人村上政之助の上告趣意第一点について。

所論は、累犯加重は、憲法一四条、同三九条に違反すると主張する(趣意書に「

憲法第二十五条」とあるのは、論旨から見て憲法一四条の誤記と認める)。しかし

累犯加重が憲法一四条に違反しないこと、また憲法三九条に違反しないことは、当

裁判所判例の示すところであるから採用の限りでない(昭和二四年新(れ)第八八

号同二五年一月二四日第三小法廷判決、集四巻一号五四頁。昭和二四年(れ)第一

二六〇号同年一一月二一日大法廷判決、集三巻一二号二〇六二頁各参照)。

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同第二点について。

所論は、憲法三六条違反をいうけれども、その実質は量刑不当の主張に帰し、刑

訴四〇五条の上告理由とは認められない。

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和三一年五月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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