大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)816 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人川上義隆の上告趣意第一点第二点について。

所論第一点は、原判決は、判例と相反する判断をし、採証の法則を誤つたと主張

する。しかし所論引用の判例(昭和二三年(れ)第一四五五号昭和二三年一二月二

三日第一小法廷刑集二巻一四号一八五六頁)は、証言又は聴取書の一部を措信し、

他の一部を採用しないことは事実審の自由裁量に属するが、それはあくまで独立し

て分離し得る一部でなければならないのであつて、供述の趣旨を変更しそのいずれ

にも属しない事実として、認定することは自由心証の範囲を逸脱するという趣旨に

ほかならない。本件のように主尋問に対する供述と反対尋問に対する供述と喰い違

つた場合に、そのいずれを採るかが自由裁量に属するということを否定するもので

ないこというまでもない。また他の引用の判例(昭和二四年(れ)第三五六号同年

三月二四日第一小法廷判決)も被告人の供述の前後の部分を無視抹殺して、その供

述を全然反対の立証趣旨に供するのは経験則に反するというものであるに過ぎない。

挙示の判例はいずれも本件に適切でなく、所論は結局事実審の裁量に属する証拠の

取捨判断を争うことに帰し上告適法の理由にならない。所論第二点も判例違反を主

張するが、原判決はなんら挙示の判例に反する判断をしているものではない。結局

所論は第一点同様証拠の取捨判断の非難であつて上告適法の理由とならない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三三年三月一一日

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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