大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)886 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人大塚喜一郎の上告趣意第一点は、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴

四〇五条の上告理由に当らない。

検察官が捜査のため必要があるものとして、刑訴三九条三項により被疑者と弁護

人との接見につき、その日時及び時間を指定するには、被疑者が防禦の準備をする

権利を不当に制限してはならないことは、右条項の明らかに規定するところであり、

それは憲法三四条の趣旨にも合致するところである。されば、検察官には被疑者と

弁護人との接見を禁止する権能のないことはいうまでもないことであり、接見の日

時及び時間の指定が適切を欠き被疑者の防禦権を不当に制限する場合には、その指

定は違法となり、時には被疑者の供述の任意性をも疑わしめるような状況を生じさ

せる場合もあり得る。しかし、右指定の不服申立については別に救済手続も認めら

れているのであり(刑訴四三〇条以下)、右指定の不当不法は、常に必ず被疑者の

供述の任意性を疑わしめその証拠能力を当然に失わしめるものということはできな

いのであつて、その任意性の有無は、その供述をした当時の情況に照らしてこれを

判断すべきものである(昭和二五年(あ)第一六五七号同二八年七月一〇日第二小

法廷判決、集七巻七号一四七四頁参照)。本件において原判決にはその説示中にし

ばしば「接見禁止」なる字句を用い検察官に接見禁止の権能があるかのごとき誤解

を生じさせる用語上の瑕疵があるけれども、原審は所論A並びに被告人の検察官に

対する各供述調書と、本件記録及び本件事案の特質等とを比較検討して、右供述調

書の任意性を肯定しているのであつて、その判断は相当と認められるのであるから、

原判決には所論の違法はない(司法警察員に対する供述調書を証拠としたことの違

法については、原審で主張されず、その判断を経ていないのであるから、上告審で

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争うことはできない。)

同第二点は事実誤認の主張であり、同第三点は量刑不当の主張であつて、いずれ

も刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三一年一〇月二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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