大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)1046 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人晴野道太郎の上告理由について。

本件約束手形二通が、上告人から株式会社D商事に宛てて振出され、更に同会社

取締役社長E名義の裏書により、被上告会社がこれを取得し現にその所持人である

ことは、原審の適法に確定したところであるから、被上告会社は右裏書の連続によ

り手形上の権利者たる資格を与えられ、実質上の権利者であるかいなかを問うまで

もなく、その権利を行使することができるのであつて、このことは手形法七七条一

項一六条一項の明文に照らし明らかである。しかもこの場合、中間の裏書に例えば

無権代理あるいは偽造等実質上無効な裏書が存していても、裏書の連続を害われる

ものでないことは、判例の示すところである(大正二年(オ)第二一〇号同年一〇

月四日大審、民第二部判決、大審民録一九輯七四三頁、昭和二九年(オ)六〇三号、

同三〇年九月二三日最高裁第二小法廷判決集九巻一〇号一四〇三頁参照)。従つて、

仮に前記訴外会社の裏書につき、所論の如き事情があつたとしても、その事情につ

き被上告人の悪意又は重過失に対する立証のない本件においては、本件手形金の請

求を認容するに何等妨げとならない。されば論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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裁判官 高 橋 潔

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