大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)313 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人平山三喜夫の上告理由第一点について。

所論は、原判決が、福島県知事は上告人に買収令書を交付していない事実を認定

しながら、買収計画及び売渡計画が無効でないと判断したことをもつて自作農創設

特別措置法九条の解釈を誤りかつ最高裁判所の判例に違反すると主張する。しかし、

原判決は、買収令書の交付があつたかどうかについてはなんら認定していないのみ

ならず、買収令書の交付の有無は買収処分の有効無効の問題を生ずることあるは格

別、本件のような農地買収計画の有効無効について消長を来すものではなく、仮り

に所論のように令書の交付がないとしても買収計画が無効になるものではない。ま

た所論引用の判例は、買収農地が買収令書に特定されることを要する趣旨であつて、

本件に適切ではない。所論は採用できない。

同第二点について。

所論は、買収処分に対する上告人の異議申立に対し、書面による決定がないから

買収計画は無効であると主張する。しかし買収処分に対する異議申立の途はないの

であるから、上告人の主張を買収計画に対する異議と解しても、異議の決定がない

ために、計画そのものが無効になる理由はなく、所論は採用できない。

同第三点について。

所論は、本件第四目録の農地の買収計画は死者を相手方とするものであるから無

効であるというに帰する。しかし、登記簿上の所有者を相手方とする買収処分が当

然無効でないことは、当裁判所のしばしば判示するところであつて(昭和二四年(

オ)第一七七号同二五年九月一九日第三小法廷判決、集四巻九号四二八頁、昭和二

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五年(オ)第二八〇号同二九年一月二二日第二小法廷判決、集八巻一号一五三頁、

昭和二八年(オ)第六五七号同三〇年四月二六日第三小法廷判決、集九巻五号五六

九頁各参照)。この趣旨は、買収計画と買収処分とによつて結論を異にする理由は

ない。そして上告人の被相続人たる亡父を相手方としてなした本件買収処分は、相

続人との関係において当然無効とはいえない。

同第四点について。

所論は、上告人主張の農地が保有面積内の小作地であることを理由として憲法二

九条違反を主張する。しかし、所論の事実は原審の認定しないところであるのみな

らず、原審は仮りに保有面積内の農地であつてもそのことで当然無効となるもので

ないと判示し、この判断は正当であるから所論は前提において失当である。

同第五点について。

所論は、自作地と小作地が混在することを理由として憲法二九条違反を主張する。

しかし、仮りに所論のような事実があつても、そのため直ちに買収が当然無効とな

るものでないこと原判決の判示するとおりであつてこれまた所論は前提において失

当である。

同第六点について。

所論は、山林を畑として行つた買収計画は無効であるというに帰する。しかし、

原判決は所論のような事実を前提とするものではなく、山林か農地か必ずしも明白

でない土地については、これを農地として買収計画を定めても、その計画が当然に

無効となるものではないという趣旨であつて、この見解は正当であり、所論は採る

を得ない。

同第七点について。

県農地委員会も、その訴訟承継人たる知事も買収計画、売渡計画の樹立そのもの

には関係がないから、これを相手方として計画の無効確認を求めることは、相手方

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を誤つたのであつて、同趣旨に出でた原判決は正当である。さればこれと異なる見

解に立つ所論はすべて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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