最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)550 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人高見之忠の上告理由第一点について。
原判決は、上告人が被上告人の妻Dと不貞行為を継続した事実を認定した上、右
は被上告人の夫たる権利(妻に対し貞節を要求する権利)を侵害したものであると
して、上告人に不法行為責任があると判断したのである。而して、被上告人におい
て妻に対し右侵害行為を暗黙に承認しあるいは挑発したことは原審の認定しないと
ころであり、たとえ被上告人に妾があつたとしても、かような事実ならびに同人に
おいて前記不貞行為につき必要な調査措置をとらずかつ事業上の経理および家計に
ついての監督を怠つたとの事実のごときは、損害賠償額を定めるにつき考慮されれ
ば足り、上告人の不法行為責任を否定する根拠となるものではない。したがつて、
この点に関する原審の判断は正当であり、所論は、原審の認定にそわない事実と独
自の見解とを前提とし、違憲に名を藉りて原審が正当になした判断を攻撃するに帰
し、採るを得ない。
同第二点について。
原判決は、所論の証拠の各一部を信用できないとして排斥したのであるが、右証
拠の取捨に経験則違背の違法は認められない。しかも、不法行為に因る損害賠償額
を定めるにつき被害者たる被上告人の過失をどの程度斟酌するかは原審の裁量に属
し、その裁量に経験則違背等の違法のない限り、裁量の当否を上告審で争うことは
できないと解すべきところ、原審の確定した事実によればその裁量に違法な点は認
められない。したがつて所論は採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
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おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 垂 水 克 己
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