大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)570 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人成田篤郎の上告理由第一点について。

所論調停に基く本件宅地売買契約の成立により右宅地賃貸借が消滅したとする原

審の判断は正当であり、また、原判決挙示の証拠をそう合すれば、右売買契約に際

したとえ右売買が買主訴外Dの債務不履行のため解除されても前記宅地賃貸借は復

活しない旨暗黙の合意がなされたという原判示事実を認定できないことはない。

然りとすれば、たとえ上告人が右宅地売買契約解除後前記Dから該地上に存する

所論建物を買受けたとしても、借地法一〇条を適用する余地はないから、原審が上

告人の右建物買取請求を認めずその収去を命じたのは正当であつて、論旨は理由が

ない。

同第二点について。

原判決の確定するところによれば、上告人は何ら権限なくして本件宅地上に所論

建物を所有しているものであり、また、右建物につき借地法一〇条(論旨に借家法

一〇条とあるのは誤記と認める)の買取請求権を認め難いことは、論旨第一点につ

いて説示したとおりである。

然らば、たとえ所論の事情があつたとしても上告人は本件建物収去の義務を免れ

ず、原判決に所論の違法はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとお

り判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

- 1 -

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!