大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)616 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人森田重次郎の上告理由第一点について。

原判決は、株式会社D商店は被上告人の個人経営と異らないとの事実によつて、

会社の使用の必要性は即ち被上告人の使用の必要性と同視すべきものとする見解の

下に正当事由の存在を肯定しているのであり(その見解の当否については第二点)、

必要者の誤認、正当事由の判断の違法、当事者主義違反、理由そごの論旨はすべて

原判示に副わない独自の解釈に基くものである。

同第二点について。

被上告人は本件家屋をその営業の商品陳列場に使用する必要があると主張し、原

判決の認定した事実はその主張の範囲内の事実に外ならぬから、当事者主義違反の

点はない。

また、原判決は被上告人が代表取締役たる一事のみによつて「個人経営に異らず」

と断じたものでない。原判決挙示の証拠によればその認定は首肯し得ぬものではな

い。

又原判決は、法人と個人と区別の必要なしとし、もしくはこれを混同しているも

のではなく、正当事由存否の判断にあたつては、法人たる株式会社D商店に必要あ

る場合であつても、右会社が判示の如き経緯、内容の下に設立せられ被上告人の個

人営業と異らない場合においては、被上告人に自己使用の必要ある場合と同視して

正当事由の存在を肯定し得るとしているにすぎず、その解釈は不当ではないから、

所論の違法あるものと言えない。

同第三点について。

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所論の事実は、上告人の抗弁事実たる解約申入撤回の事実の存否に争いがあつた

ため、これを否定する事情として認定した事実にすぎず、被上告人の主張がなくて

もこれを認定するに妨げない。

同第四点について。

原判決挙示の証拠によれば損害金の認定と乙一号証(三一丁)を排斥した原審の

判断は首肯し得ぬものではなく所論の違法ありとは言えない。所論は独自の観点に

立つて原審の証拠判断を論難するにすぎない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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