大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)652 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人後藤英橘、同江川甚一郎の上告理由について(六五三号事件)。

論旨は、いわゆる決算期又は存続期間について登記のない根抵当権の効力に関す

る原審の解釈を非難する。けれども、根抵当権は原則として、継続的な契約関係に

基き将来発生すべき債権の一定時期における特定額を担保するものであり、従つて

その設定契約において右時期につき合意を為すのが通常であるばかりでなく、右決

算期又は存続期間の定めが現行不動産登記関係法令上いわゆる登記事項であると解

すべき規定はないのであるから、根抵当権設定登記に右点に関する記載の存しない

ことを捉えて直ちに、所論の如く決算期の定めのない根抵当権であると為すことは

できない。そして、根抵当権者がその設定契約において、被担保債権の限度額を特

定し根抵当権を設定した趣旨を明らかにしてその設定契約を登記原因とする登記を

為した以上、その根抵当権をもつて第三者に対抗し得ることは、大審院の判例とす

るところであり、今これを改変するの要あるを見ない。されば原審が、係争の土地

所有者Dは、被上告銀行のため同銀行と訴外株式会社E機械店との間に、将来発生

すべき債権のうち金四〇〇万円を限度額とする根抵当権を右土地に設定すべき旨を

約しこれを登記原因とする根抵当権設定登記を昭和二八年二月五日に為した事実、

右訴外人は、更に上告人A1のため、右土地の一部に地上権を設定し、同年九月七

日に同旨の地上権設定登記を為した事実等を認定し、右根抵当権者たる被上告銀行

は、その根抵当権をもつて上告人A1に対抗し得べく、同上告人はその地上権をも

つて右土地競落人たる被上告銀行に対抗し得ないと為した点につき所論違法はない。

(なお、論旨引用の大審院昭和五年六月三日判決は本件に適切でなく、同大正四年

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一二月三日判決は原判決に牴触するものではない。)

上告代理人中野初太郎の上告理由について(六五二号事件)

論旨は、原判決に理由不備の違法がある、と主張するが、原審は、被上告銀行が

係争土地の所有権を競落により取得した当時以降右土地上に所在する家屋の所有権

が上告人A2に属するものでなくA1に属すること、右当時以降該家屋に引続き居

住しこれを占有する上告人A2、同A3が、その占有の正当権原に基く点につき主

張立証を為さないから、結局右上告人両名は、該家屋を不法に占有し、これにより

A1の被上告銀行に対する家屋収去土地明渡義務の履行を妨げ、被上告銀行の土地

所有権を侵害しているものであること等を認定判断して、被上告銀行の上告人A2、

同A3に対する所有権に基く家屋退去、地代相当損害金の請求を認容した第一審判

決を相当としていること原判決に照しまことに明らかであつて、これに所論の違法

はない。

以上説示以外の点に関する論旨は、原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の

違背を主張するものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 已

裁判官 高 橋 潔

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