最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)688 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人東里秀の上告理由第一点について。
所論は、原判決に理由のくいちがいがあると主張する。その理由について調べて
みると、原判決は本件最後の貸付金五万円の日時を昭和二三年「九月初旬頃」と判
示するところ、判示の担保の趣旨で提供されたという建物の登記済証(甲第三号証)
記載の日附によれば、昭和二三年九月二二日に作成された書類であることが認めら
れ、両者は日時において一致しないように見えること所論のとおりである。しかし
本件の争点は、判示金三〇万円の貸金債権が成立したかどうかにあるのであつて、
この債権担保のために提供された建物の登記済証(甲第三号証)が何時授受された
かというとは、その過程の一こまにすぎず、被上告人の請求を認容すべきかどうか
を決定すべき事項とはいえない。されば原判決における所論指摘の関係部分は、必
要とはいえない本件の経緯について触れた説示にすぎず、従つて仮りに原判示に所
論のような誤りがあつたとしても、判決に影響を及ぼす事項ではないから、結局所
論は採用できない。
同第二点について。
所論は、原判決は、上告人の相殺の主張に対する判断について、法令の解釈又は
採証の法則を誤つた違法があると主張する。しかし所論は、独自の見解によつて合
意による相殺に適用のない民法の規定の趣旨に準拠し、原審の正当な判断または原
審の適法な事実認定を非難するにすぎず、採用のかぎりでない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
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最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 小 林 俊 三
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
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