最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)1768 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人長谷川勉の上告趣意は違憲をいう点もあるが、所論の実質は関税法一一八
条二項の解釈適用の誤りをいう単なる法令違反の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。(しかして、関税法一一八条二項にいう、「その没収することが
できないもの又は没収しないものの犯罪が行われた時の価格」とは、輸入貨物につ
いてはその犯罪が行われた当時における関税及び内国消費税込の国内卸売価格をい
うものと解すべく、右国内卸売価格の内には、物の原価、関税、内国消費税の外更
に通常の卸売取引における適正利潤等をも含むこと、昭和三五年二月二七日第二小
法廷決定の示すとおりであるから、これと同旨に出た原判決は相当である。また同
法同条の没収および追徴規定の趣旨は、単に犯人が現実に取得した不正の利益だけ
を剥奪せんとするに過ぎないのでなく、むしろ国家が関税法規に違反して輸入した
貨物またはこれに代るべき価格を犯人連帯の責任において納付せしめ、もつて密輸
入の取締を厳に励行せんとするに出たものと解すべきであることも、昭和三五年二
月一八日第一小法廷判決に示されているとおりであるから、本件第一審判決が同法
同条二項を適用して本件被告人のみから時計機械三六個分の価格金一三二四八〇円
の全額を追徴する旨言い渡し、相被告人Aとの両名に平分して追徴する旨の言渡を
しなかつたことは正当であり、この点についての原判示もまた相当である。)
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和三五年一二月一三日
最高裁判所第三小法廷
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裁判長裁判官 河 村 又 介
裁判官 島 保
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 高 橋 潔
裁判官 石 坂 修 一
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