大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)2119 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人Aの上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張を出ないのであつて、刑訴四

〇五条所定の上告理由に当らない。

被告人Bの弁護人池辺甚一郎の上告趣意第一点及び第三点は、事実誤認の主張で

あつて、同条所定の上告理由に当らない。

同第二点は、事実誤認及び単なる法令違反の主張であつて、同条所定の上告理由

に当らない。(原判決が、仮に所論記事掲載は、専ら公益を図る目的を以つてなさ

れたものであるとしても、その記事の真実であることの証明のない以上、所論所為

の違法性を阻却するものではないと判断したことは、正当である。)

同第四点は、所論所為を以つて、憲法二八条によつて保護せられる団体交渉権の

行使であつて、恐喝罪とならないものであるとし、原審が同罪の成立するものとし

たのは、同法条に違反する旨主張する。しかしながら原審は、所論所為を右団体交

渉権の行使であるとは認定して居らないのであつて、論旨は原判示にそつた主張と

ならないものであり、従つて上告適法の理由とならない。

同第五点は、憲法三七条違反をも論ずるけれども、その実質は、事実審である原

審の裁量に属する証拠の取捨判断を非難するに外ならないから、刑訴四〇五条所定

の上告理由に当らない。

同第六点は、違憲を論ずるけれども憲法の何れの条項に違反するかを具体的に示

さないのみならず、その実質は、審理不尽による事実誤認の主張、事実審たる原審

の裁量に属する証拠の採否に対する非難を出ないものであつて、同四〇五条所定の

上告理由に当らない。

同第七点は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、同条所定の上告理由に当らな

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い。

被告人Bの弁護人鍛治利一、同池辺甚一郎名義の上告趣意第一点は、事実誤認、

単なる法令違反の主張であつて、右四〇五条所定の上告理由に当らない。(原審の

維持した所論の第一審判示は、恐喝罪成立に必要な害悪の告知に関する事実摘示と

して必ずしも欠ける所があるものとはいえない。また所論の趣意書の内容を所論の

如く具体的に示すこと及びその内容が所論の如き利益誘導となる理由を判決におい

て説明することは、必ずしも必要でない。)

同第二点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、同条所定の上告理由に

当らない。(前記弁護人池辺甚一郎の上告趣意第二点に対する説明参照)

同第三点は、判例違反を論ずるけれども、原審は所論の所為を所論の団結権、団

体交渉権、争議権の行使とは認めて居らないのであるから、その論旨は所論原判示

に添つたものとはいえないのみならず、所論原判示が引用の判例の趣旨に反するも

のとは解し得ないのであつて、論旨はその前提において既に上告適法の理由となら

ない。

被告人Aの弁護人安達勝清の上告趣意第一点は、判例違反をも論ずる如くである

けれども、判例を具体的に明示しないばかりでなく、論旨の実質は事実誤認の主張

を出ないのであつて、刑訴四〇五条所定の上告理由に当らない。(原審の維持する

所論第一審判示は、所論の如く恐喝罪成立に必要な害悪の告知に関する事実摘示と

して必ずしも欠ける所があるものとは認められない。また所論の記事が専ら公益を

図る目的に出たものであり、また右記事の内容が被告人Aにおいて、真実であると

信じて居つたものであつても、原審の維持する第一審判示の恐喝罪の成立を妨げる

ものとは解し得ない。)

同第二点は、単なる法令違反の主張であつて、右四〇五条所定の上告理由に当ら

ない。

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同第三点及び第四点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、同条所定の

上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三六年五月二三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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