最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)2663 決定
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人Aの弁護人重富義男の上告趣意について。
所論は憲法一三条違反をいう点もあるが実質は単なる法令違反、量刑不当の主張
にすぎない。(憲法一三条は個人の生命、自由、権利も社会生活の正しい秩序、共
同の幸福が維持されない限り砂上の楼閣に終るしかないので、同条には「公共の福
祉に反しない限り」との大きな枠をつけており、他方憲法三一条は社会秩序保持の
ため必要とされる国家の正当なき刑罰権の行使を是認する。されば諸般の事情を考
慮して犯罪に対し実刑の判決を言渡すことは事実審裁判所の自由裁量権に属するこ
とであつて、これをもつて憲法違反ないし違法であるということはできないこと、
当裁判所昭和二二年(れ)二〇一号同二三年三月二四日大法廷判決の趣旨とすると
ころである。次に、所論保安庁第一幕僚監部厚生課長が昭和二三年六月三〇日法律
六九号(旧)国家公務員共済組合法七条により同時に保安庁共済組合の実務主掌者
として行う同組合の事務は刑法七条にいう公務に属するものと解すべきである。)
所論は採用することができない。
被告人Aの弁護人岩村隆弘の上告趣意第一点は原判決の被告人Aの職務権限につ
いての事実誤認ないしその根拠法令の解釈を誤つたという法令違反の主張、同第二
点は事実誤認の主張、同第三点は量刑不当の主張に過ぎず、いずれも刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。
被告人Aの弁護人清瀬一郎、同内山弘の上告趣意は判例違反をいうが原判決は論
旨の引用する各判例に反するものとは解されない。所論の実質は被告人の職務権限
に関する事実誤認ないし法令違反の主張をいでず上告適法の理由とならない。
被告人Bの弁護人重富義男の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張にす
- 1 -
ぎず上告適法の理由とならない。
記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和三六年一〇月三日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 垂 水 克 己
裁判官 河 村 又 介
裁判官 高 橋 潔
裁判官 石 坂 修 一
- 2 -