大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)276 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人関山清の上告趣意第一点について。

所論は、本件田(水田)一反二三歩は被告人Aの所有であり、ここに植付けられ

た原判決判示稲苗の毀損による被害者は判示Bであるのに本件告訴人は被害者でな

いCであるから本件公訴は不適法であり、原判決は憲法三一条に違反するというに

あるから、所論は訴訟法違反を主張しこれを前提として違憲をいうものにほかなら

ず、上告適法の理由とならない。(原判決は、要するに、本件水田は従来被告人A

の承諾の下にBが使用収益しその後BC老齢のためその長男Cにおいて事事上耕作

して来たのであつて、原判示の経過で、昭和三〇年四月三〇日判示農業委員会はC

方に耕作権があることをC方と被告人側に告知した事情もあり、被告人両名と右C

両名とは互いに本件水田の所有権を主張して現在に至つているC両名は被告人らの

返地要求を終始拒絶し未だ返地していない事情もあることに鑑み、そして、証拠に

より本件稲苗そのものはCの所有であることが認められるから、本件水田の所有権

はいずれにありとしても、Bおよび同Cは本件水田につき少くとも使用収益の権利

を有しこの権原に基いて本件稲苗を植え付けたものというべきである、従つて、被

告人両名がCの所有物なることを認識の上互いに意思を通じて同三〇年五月一九日

頃本件水田において右事実上耕作者Cがその頃ここに植え付けた本件稲苗約一二〇

把分を抜き取り水田中に埋めるなどして毀棄した所為は毀棄罪を構成する、との趣

旨を判示したのである。この認定によれば、毀棄された稲苗の所有者Cは本件毀棄

罪の被害者にほかならないから同人が告訴人となつてした本件告訴、従つて本件起

訴は適法であり、原判決には所論の違法はないこと明らかである。)

同第二点は、本件の田および稲苗の所有者は被告人Aであり、BCは田の正権原

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なき占有者であるという原判決の認定事実と異る事実を主張して犯罪の成立を否定

するものであり、違憲の主張は憲法のいずれの規定に違反するかを示さないから、

すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

なお記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三五年三月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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