大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)740 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鎌形寛之の上告趣意第一点について。

所論は、被告人の司法警察員及び検察官に対する自白の供述は、強制、脅迫、拷

問によるものであるから、これらの供述記載の調書を判決に証拠の標目として掲げ

られていないけれども、かかる調書が証拠資料として法廷に顕出されている以上、

右自白の供述は有罪判断について影響を与えていることは否めないところであるか

ら、憲法三八条二項違反を免れないと信ずる旨主張する。しかし、第一審判決は所

論自白の調書を証拠として挙示していないのみならず、特に「右自白の任意性につ

き疑を挿しはさむ余地があると考え、……各証拠によつて事実の認定をするについ

ても自白に捉らわれることなきよう留意し」た旨記述し、原判決も「第一審判決の

右の趣旨を尊重し、自白にとらわれることなく……第一審の事実認定の当否を考究

し」た上、本件犯罪事実を直接に証明する証拠はない。しかし……事実を間接に推

認させる間接証拠すなわちいわゆる情況証拠は多数存在し、これらの証拠を綜合す

ると、優に公訴事実を認定するに足りる」旨説示している。そして原判決の右所見

は記録上当裁判所も肯認し得るところであるから、所論のように被告人の自白が有

罪認定の証拠に加えられていることを窺うに足りないのであつて、所論違憲の主張

は前提を欠き適法な上告理由とならないものといわなければならない。

同第二点について。

所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出るものでなく、いずれも刑訴四

〇五条所定の上告理由に当らない。

被告人の上告趣意について。

所論の詳述するところは、原判決の訴訟法違反ないし事実誤認を主張するにすぎ

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ず、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。そして第一、二審判決の挙げる証拠と詳

細に判示するところによれば、被告人を有罪と認定したことは相当であつて、所論

は採用できない。

また記録を調べても本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により裁判官全員一致

の意見で主文のとおり決定する。

昭和三二年七月二三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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