大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(し)44 決定

主 文

本件特別抗告を棄却する。

理 由

本件特別抗告の理由は末尾添附の書面記載のとおりである。

一件記載に徴すれば被告人AことAに対する賍物故買被告事件について昭和三二

年三月六日名古屋地方裁判所の言い渡した有罪判決に対し被告人から控訴申立があ

つたので原審の裁判長は同年五月一七日、控訴趣意書差出最終日を同年六月二〇日

と、また第一回公判期日を同年七月八日午前一〇時とそれぞれ指定した上、右最終

日通知書及び公判期日召喚状と共に弁護人選任に関する通知書を一括して被告人に

送達したところ、被告人は同年五月二七日に弁護人は私選する、目下選任の手続中

である旨の回答書を原審に提出したのみで、その後弁護人を選任せず、また控訴趣

意書も提出しないで慢然その差出期間を徒過したため、原審は同年七月八日刑訴三

八六条一項一号により本件控訴を棄却する決定をしたことが認められる。かかる場

合、原審が被告人のため職権で弁護人を選任しなかつたことは何ら非議せられるべ

き筋合のものではなく、寧ろ被告人自ら弁護人を選任するの困難な事情が生ずれば

前記弁護人選任に関する回答をした後においても弁護人選任の請求をなし得る余裕

が十分あつたものと認められるから、原審において前記控訴棄却の決定をしたのは、

すべて被告人の懈怠に基因するものといわなければならない。その他原審が憲法三

七条三項によつて保障した被告人の弁護人選任権の行使を妨げた事跡の認められな

い本件において原決定の示した判断は正当であつて所論は採用し得ない。

よつて刑訴四三四条四二六条一項により全裁判官一致の意見で主文のとおり決定

する。

昭和三二年一一月五日

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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