最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)1088 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人大橋茹の上告理由について。
原審の引用した第一審判決は所論の如く上告人は被上告人に対する扶養義務を尽
さないと認定判断しているものではない。けだし、右判決が、被上告人上告人双方
の収入全額、生活程度等を比照して被上告人は無資力無収入或はこれに近い程度で
あるに反し上告人は資力収入を有し余裕ある生活を営んでいる事実、その他親と成
年の子との間において具体的に扶養義務が生ずるに至つたものと判断するに足る基
本事実すら認定していないことが、行文上明らかであるからである。されば原審が、
被上告人は上告人と関係のない訴外D染工株式会社から月額二万円宛の支払を受け
てその生活を維持しているとの事実を認定しても、また上告人の扶養義務如何に触
れることなく専ら親子の情の缺けていることを養子関係の継続し難い事由にあたる
と判断しても、その間に何等矛盾ないし不明確は認められない。右点に関する論旨
は理由がない。
さらに、原審が引用した第一審判決は、被上告人が夜中上告人に足腰をさすらせ
その後居室に戻ろうとする上告人を留めて同衾せしめた事実、その後上告人が近く
に居住しながら被上告人の居室に赴かないようになつた事実、その他を認定してい
るのであるから、上告人が被上告人の右所為のため同人を軽侮するに至りその居室
に赴くのを潔しとしなかつたであろうことを推測し得られると共に、妻Eの手前を
憚りその疑惑を解いて夫婦関係を維持するがためにも被上告人の居室に赴かないよ
うになつたことも推測するに難くないのであつて、原審が上告人は母である被上告
人を敬愛する念を喪失したとする第一審判決を引用すると共に、妻Eを離別でもし
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ない限り上告人は被上告人との間に親子らしい愛情を回復し得ない等と為した点に
ついて所論違法ありと為し難い。されば右に関する論旨も理由がない。
そして、原審が認定した事実関係のもとにおいては原審が係争の縁組はこれを継
続し難い重大な事由があるものと判断したことの相当であることを肯認し得られる。
以上説示した以外の点に関する論旨はすべて、原判決に影響を及ぼすことの明ら
かな法令の違背を主張するものと認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
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