大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)1102 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人大高三千助、同露木滋の上告理由第一点について。

不動産を買い受けた者は、売主が実体上同不動産の所有権を有しない場合は、そ

の売主が登記簿上同不動産の所有名義人であるときでも、特別の規定がない限り、

善意であると悪意であるとを問わず、同不動産の所有権を取得しえないものと解す

べきである。したがつて、原審が、その認定の事実関係のもとで、上告人は本件建

物の所有権を取得しえないとしたのは相当である。所論引用の判例は本件に適切で

なく、所論は、原審で主張、認定されない事実を前提とし、独自の見解に立つて原

判決を攻撃するものであるから、採用できない。

同第二点イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘについて。

被控訴人(被上告人)代理人が昭和三〇年一一月一四日の第一審口頭弁論期日に

所論乙第一号証の二の成立を認めると陳述したことは所論のとおりであるが、本件

口頭弁論の全趣旨によれば、右陳述は、原判示のように、乙第一号証の二のうち被

上告人名下の印影の成立の真正を認めたもので、その内容の成立の真正まで認めた

趣旨ではないと解しえられないことはない。したがつて、原判決に所論の違法はな

く、所論は右陳述についての右と異つた解釈を前提とするものであるから、採用で

きない。

同第二点トについて。

被上告人がDまたはEに対し本件建物の売渡し(担保のためであると否とを問わ

ず)を承諾した事実がない旨の原審の認定は、その挙示の証拠により肯認すること

ができる。したがつて、所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断

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および事実の認定を非難するに帰し、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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