最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)111 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人長屋多門の上告理由第一点について、
しかし、所論のような特段の事由を示さないでも、原判決及びその引用にかゝる
一審判決中所論指摘の各判示事実の認定をなし得ないわけのものではなく、これら
判決の挙示する証拠を綜合すれば、上記の認定はいずれもこれを首肯するに難くな
い。所論は畢竟原審の認定しない事実若しくは独自の判断を前提として原審の裁量
に任された証拠の取捨撰択、事実の認定を非難し、またこれに基ずき原審の判断を
攻撃するに帰する。引用の判例は本件と場合を異にし適切でなく、所論はすべて採
り得ない。
同第二点について、
しかし原判決挙示の証拠によれば所論の判示認定を首肯することができ、右判示
に其の間何等所論のような理由齟齬の違法を認め得ない。
所論も原審の専権に属する証拠の取捨判断及び事実認定の攻撃に帰し、上告適法
の理由となし得ない。
同第三点について、
しかし、本件記録に徴すると、被上告人は昭和二九年一月一四日本件家屋の所有
者で、本件敷地所有者である兄Dの代理人である上告人との間に、本件家屋及び敷
地を一括して代金三六〇万円で買受ける旨の契約をなしたとの一審準備手続におけ
る被上告人の主張に対し、上告人は右主張事実を認める趣旨の陳述をなした事跡が
看取される。してみれば被上告人の右主張事実は上告人の自白するところというべ
きである。(尤も上告人は后に右自白を撤回したが、その許されないことは原判決
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引用の一審判決の正当に判示しているところである。)そして、所論の一審判示は
右自白にかゝる事実の説示にほかならないこと判文の前后に照らし窺知するに難く
なく、また所論二指摘の原判示が兄Dの代理人をも兼ねた上告人と被上告人間に判
示のような経過で前記売買代金減額の合意が成立したことを示す趣旨であることも
行文上窺うに足りる。従つて原判決には所論の違法はなく、所論は結局原審の適法
になした事実の確定を争い若しくは原判決を正解せずしてその違法をいうものであ
るから採用することができない。
同第四点について、
しかし、前段に述べたように本件売買契約の締結にあたり、上告人が兄Dの代理
人をも兼ねて事に当つた事実は上告人の自白にかゝり、所論の一審判示もこの趣旨
を説示したものと解するのが相当であるから、原判決には所論の違法は存しない。
所論も原判決を正解せずしてその違法をいうもので、採るを得ない。
同第五点について、
しかし、証拠申出の採否は、特段の事由のない限り、裁判所の自由に決し得ると
ころであり、所論の証拠を採用しなかつた原審の措置を違法となすべき事由は記録
上見出し得ない。さらに弁論再開の申立は単に裁判所の職権発動を促すにとゞまる
から、これをすると否とは裁判所の自由裁量に属するところである。従つて原判決
には所論の違法はなく、所論もまた採用に値しない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 高 橋 潔
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裁判官 石 坂 修 一
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